生かすノート

「生きる」とはなにか?を明るく軽やかに探究していくブログ

【書評】五つの傷―心の痛みをとりのぞき本当の自分になるために(リズ・ブルボー 著)

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心の傷を知り、それに向き合い、癒していくための本。傷が「思い込み」や「恐れ」となり、発言や行動を決めてしまうのです。本来の自分自身の歪みない心で、人生に取り組み始めるきっかけを与えてくれる一冊です。

1.書籍の紹介文

"この世の中には、意地悪な人というのは一人もいません。そこにいるのは、ただ傷ついて苦しんでいる人だけなのです。"

自分自身を認められず、偽りの自分を演じてしまうひとが多いと思います。本書を読むと、それらの偽りの自分(=「仮面」)が心の傷に由来するものであることが理解できます。その傷が「思い込み」や「恐れ」となり、発言や行動を決めてしまうのです。

人はだれでも、自分がどんな目的を持って転生したかを、心の奥ではっきりと意識して生まれてくるそうです。 しかし、生まれてから、私たちが自分のありのままに生きようとすると、周りの大人たちは困惑します。幼い私たちは、ありのままに生きる事は正しくないことなのだと思い込んでしまうのです。

ほとんどの子供たちは、次の4つの段階を経るそうです。

  • 第一段階目:自分自身でいる喜びを味わう。
  • 第二段階目:自分自身ではいられないと言う苦痛を味わう。
  • 第三段階目:怒りと反抗。
  • 第四段階目:あきらめを経験し、その結果、他者の思い通りの人格を築いて自分自身ではなくなっていく

この第三段階、第四段階において、私たちは新しい仮面をつくります。そして第二段階で感じた苦痛から自分を守ろうとします。それらの仮面は、次の5つの大きな傷に由来します。

  • 〈拒絶〉による傷
  • 〈見捨て〉による傷
  • 〈侮辱〉による傷
  • 〈裏切り〉による傷
  • 〈不正〉による傷

この中から、自分がどの傷を負っているのかも、言動や身体の特徴から詳しく説明されています。

自分自身を受け入れ、その傷をどう癒していくかについても詳しく説明されているので、取り組んでみると良いと思います。

何か自己啓発やコミュニケーション方法を学んでも、表面的になってしまうこともあると思います。それよりまずは、心の傷を癒すことが重要で、結果効率がよいと感じました。傷を自覚し、癒していくことが、日常生活や人生においてのさまざまな困りごとに対して根本的な解決方法になるでしょう。

自分に受け入れづらい過去があること、そのせいで自分自身や他者を傷つけてきたかもしれないということに向き合うことは、非常に怖いことかもしれません。
しかし、どんなに意地悪に見えるひとも、過去に心を傷めた経験があり、その傷によって他者を傷つけてしまう原因になっているかもしれないと考えると、自分自身や他者に対して慈悲深い心や想像力をもつ余裕が生まれてくる気がします。

2.【要約】15個の抜粋ポイント(書籍の引用)

  • それらの経験をありのままに受け入れない時、私たちは、必ず同じ状況、同じ人々を再び引きつけて、似たような経験を繰り返すことになります。

  • 私たちは自分を守ろうとするときに仮面をつける

  • 責めることによって事態が良くなることは絶対にない

  • 思い込みがあるからエゴは存在できる。エゴは私たちが自分の思い込みを発見することを非常に嫌う。

  • あなたはもうそれ以上苦しめたくないと思って仮面を作ったのですから、それはむしろ自分に対する愛の行為であり、また英雄的な行為でもあったのです。

  • 私たちが自分と同じ傷を持った人のもとに生まれの本当の理由は、私たちが自分と似ている人たちと生活したいと思ったから

  • 自分に対する慈しみ、忍耐、寛容を育めば、あなたは他者に対しても同じ態度を育むことになります

  • 心の中で起こっていることに気づかせようとして体が変化するのは、実際には内なる神が体を使って自分が見ることを怖がっているものを見せてくれている

  • 傷を消そうとするのではなく自分がそれまで見なかった自分のある側面に気づくためにその傷を使うことです。それを受け入れ、その存在理由に気づき、そのことに感謝すれば、心の傷もまたすぐ治る。なぜ存在したかを理解したために、本来の使命が果たされたから。

  • 他者があなたに何かひどいことをするからという理由で、あなたが他者を恐れ、また他者を非難しているとすれば、あなたもまた同じことを他者に対してそして自分自身対して行っているということを知らねばなりません

  • 傷を癒すために地上に生まれてきた。わたしのエゴがわたしを守るためにその仮面をつくった。わたしが生き延びるために仮面を作り維持してきたということに感謝する。

  • 子どもではないからいくら傷ついたと感じても十分生きていける。もう傷を管理できない小さな子どもではない。

  • この段階を逆にたどり直すことによってのみ、完全に癒やされる。本当の自分を取り戻す

  • 書き留めるとはやくこのステップに至る。1日を振り返って、仮面をつけてしまったタイミング、自分や他人にとってしまった行動を思い出す。それについてどう感じたかも書く。仮面を使ってしまった自分を許す。

  • 病気は、体の一部にできたエネルギーブロック

3.【実践】3個の行動ポイント

  • 1日を振り返って、仮面をつけてしまったタイミング、自分や他人にとってしまった行動を思い出す。書き出してみる。

  • 仮面をつけてしまった自分を許す。

  • 他者も自分と同様に傷ついているのだということを理解する

4. ひとことまとめ

傷を認め、癒す

5. この書籍の情報

  • 【書籍名】五つの傷―心の痛みをとりのぞき本当の自分になるために
  • 【著者名】リズ・ブルボー / 浅岡 夢二 (翻訳)
  • 【出版社】ハート出版
  • 【出版日】2006/07/29
  • 【ページ数】272ページ
  • 【目 次】
    • はじめに―あなたが喜びの中で生きるために
    • 第一章 心の傷と仮面はこうして作られる
    • 第二章 〈拒絶〉による傷・〈逃避する人〉の仮面
    • 第三章 〈見捨て〉による傷・〈依存する人〉の仮面
    • 第四章 〈侮辱〉による傷・〈マゾヒスト〉の仮面
    • 第五章 〈裏切り〉による傷・〈操作する人〉の仮面
    • 第六章 〈不正〉による傷・〈頑固の人〉の仮面
    • 第七章 傷を癒して本当の幸せを手に入れる
  • オススメ度】★★★★☆